この度CLEAR GALLERY TOKYOは、細川京佳の個展「ワニニーニ・ニーニニ」を開催いたします。
弊廊での初の個展となる本展では、新作の油彩画と木彫の作品を展示いたします。
目に見えない気配や感情を顕在化させ、表現に対する原始的な衝動をもとに制作された細川の作品をこの機会にぜひご覧ください。
CLEAR GALLERY TOKYO is delighted to announce the exhibition, "WANINYNI・NININI" by Kyoka Hosokawa.
This exhibition will feature new oil paintings and sculptures.
Hosokawa creates her works based on a primal impulse towards expression, driven by a desire to make invisible presences and emotions manifest.
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心のどこかで感じる気配を、カタチ・記号・存在・行為・物語…に重ねていく。幼少期から、得体の知れない気配のようなものが心に纏わりついているのを感じる。
うまく説明できないけど、それはイマジナリーフレンド的なゴースト的なものと近しい側面もあるのかもしれない。別に怖い存在とかではなくむしろ逆で、妙な安心感や暖かさを感じている。この気配は幼少期から精神的に私の側にいて、心を救われてきた。この絶対的な、宝物のような事実、存在を大切にしたいのだ。ちなみに、そんな曖昧だけれども確かな気配を私は愛情を込めて「クリーチャー」と呼んでいる。なぜクリーチャーなのかというと、なんだかその気配は生きてる感じがするし、明らかに人間ではないから。あと、呼びやすいし、言葉に丸っこいニュアンスがあって落ち着くのでそう呼んでいる。
私は、絵画と木彫を中心に作品を制作している。筆を使って平面の中に図像を立ち上がらせる行為(絵画)と、チェーンソーや鑿、彫刻刀で木片から存在を掘り起こす行為(木彫)の感覚が交差する実感に、作ることの純粋な面白さを感じている。絵を描いているのに彫っている、彫刻を彫っているのに描いているという、2つの異なる行為が自身の手を介して脳みそで入り混じる、錯覚とも呼べるような体験がとても楽しい。また、木彫と絵画を行き来しながら制作することで、身体的な思考と精神的な思考が繰り返される。このサイクルがとても心地よく自分に合っているようで、健康的に作品と向き合えている。
近年ではワニや丸太をモチーフにすること多い。私がこれらに固執している理由は、ワニと丸太は「クリーチャーを投影できる!」とか「クリーチャーの仲間かも!」と思える、数少ない器のような存在だからだ。例えば、私がいくら心の中のクリーチャーの話をしても、きっとそれは他者には届かない。ファンタジーだと思われてあっけなく終わるだろう。そうであるならば、ワニや丸太などの信頼できる対象にクリーチャーを重ね合わせることができれば、伝えたいことが表現できるのではないかな?と思ったのだ。
ワニや丸太にクリーチャーを引き寄せ、自分の中でも感度を高める。この行為を繰り返す中で時々それがうまくいった時、描写のディテールや空間、フォルムや表情にまるでシミのように、じわじわと滲み出るようにしてクリーチャーが現れる。絵画や木彫など目に見えるカタチで目の前にそれが立ち現れた時、私はようやく生きている心地がするのだ。
人生をちょっとでも豊かに、幸せに生き抜きたいという願いを諦めないために私は美術と関わっている。生きることが素晴らしいと思える世界であってほしい。そして私は、この世界は美しいと信じている。この星で根を張る生命の根源的な欲求、文化、営み。私はこの手で、リアルに、“真の美・豊かさ”と向き合っていきたい。等身大の自分で無視できないモノを守る。これが私の美学だ。細川京佳
I superimpose shapes, symbols, existences, actions, stories... on the presence that I feel somewhere in my mind. Since my childhood, I have felt something like an unidentifiable presence clinging to my mind.
Since my childhood, I have felt something like an unidentifiable presence clinging to my mind.
I can’t explain it well, but it may be an aspect that is close to an imaginary friend, a ghostly thing. It is not that I am afraid of it. I feel a strange sense of comfort and warmth from it. And this presence has always been with me and has saved my mind.I affectionately call this presence “creature”.
In recent years, I often use crocodiles and logs as motifs. The reason why I stick to these motifs is that crocodiles and logs are one of the few things like vessel in which I believe creatures can be.
I attract the creature to the crocodile and log and increase the sensitivity in me as well. I repeat this action and sometimes it gets works. At that time, the creature appears in the details, space, form, and expression of the depiction, slowly oozing out like a stain.
When the creature appears in front of me such as painting or wood carving, I finally feel a sense of being alive. - Kyoka Hosokawa
細川京佳 Kyoka Hosokawa
1999 長崎県生まれ(東京在住)
2020 ここのがっこう プライマリーコース修了
2022 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
2024 多摩美術大学大学院油画専攻修士課程修了
1999 Born in Nagasaki, Japan. Currently lives and Works in Tokyo.
2022 B.F.A, Tama Art University
2024 M.F.A, in Department of Painting, Oil Painting, Tama Art University
<Solo Exhibitions>
2023 “Wearing Headphones” Hidari Zingaro/Kaikai Zingaro, Tokyo, Japan
<Group Exhibitions selected>
2023 “Art Fair Beppu 2023” Beppu, Oita
2023 “GEISAI #22 & Classic 2023” Tokyo Big Sight, Tokyo
2022 “空の下のUMA” Aihara-chuo park, Tokyo